ここ数年、我が国を訪れる外国人旅行者が増加し続けていることに伴って、特に東京・大阪・名古屋の三大都市圏において宿泊施設が不足しており、今後もその傾向が続く可能性があると予想されています。
この流れを受け、外国人旅行者などに自宅の空き室などを短期で貸す、いわゆる「民泊」を行う人が増加しています。インターネット上では民泊で部屋を貸したい人と、そこに宿泊を希望する旅行者とをマッチングするビジネスが展開されており、その利用者数は急速に増加しているといわれています。
その一方で、民泊が本来は旅館業法の許可が必要な旅館業に該当するにもかかわらず無許可で実施されていたり、ごみ問題など地域住民とのトラブルが発生していたりすることから、その対応策として今年6月に「住宅宿泊事業法」が施行され、民泊を行うための法律上のルールが整備されました。
住宅宿泊事業法では、住宅宿泊事業を「旅館業法に規定する営業者以外の者が宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数が1年間で180日を超えないもの」と定義しています。
また、同法では住宅宿泊事業に使用される家屋を、①台所・浴室・便所・洗面設備など、その家屋を生活の本拠として使用するために必要な設備が設けられており、かつ、②現に人の生活の本拠として使用されていること等の要件を満たすものと定めています。
それらの住宅宿泊事業上の考え方や、民泊利用者から受領する対価には部屋の使用料だけでなく、寝具等の賃貸料や室内清掃費等のサービスの対価などが含まれていると考えられることから、民泊による収入の所得税法上の所得区分は、一般的な不動産の貸付けによる所得(不動産所得)とは区別され、原則的には雑所得に該当するものとされています。
雑所得の場合、青色申告特別控除・赤字の場合の他の所得との通算が受けれませんので注意が必要です。